低分子化合物

  • マシチニブ Masitinib

作用:炎症を減らして神経保護作用に働くと考えられている

過去の治験結果:進行が比較的ゆるやかな症例においてリルゾールと併用の48週間の治療でALSFRS-Rの低下を3.4点抑えた。(進行を27%遅くした)

進行が早くない軽症なALSにおいて平均75か月の観察期間で25ヶ月の生存期間の延長と47%の死亡リスクの低減。

副作用: 皮疹、吐き気、呼吸不全、肝障害

治験の現状:第3相試験 

詳細

作用:PDGF-R、c-Kit、FLT3、CSF-1RなどのIII型成長因子受容体ファミリーチロシンキナーゼ阻害剤。マスト細胞とミクログリア細胞に作用し炎症を減らして神経保護作用に働くと考えられている。SOD1G93Aラットの生存期間を40%延長(Trias et al., 2016)

過去の治験結果: 第2/3相。発症後のALSFRS-R低下速度が 1.1 点/月以下の症例において48週間のリルゾールと組み合わせたマシチニブ投与と偽薬(実薬99例、偽薬102例)のALSFRS-Rの群間差3.4点抑制 (p= 0.016) (Mora et al., 2020)。48週間の治療で偽薬とのFVCの群間差7.5 点( p= 0.03)抑制。

一方、進行が速いALSも加えた全患者解析では有意差なし。

長期生存解析では、発症後のALSFRS-R低下速度が1.1 点/月以下かつALSFRS-Rのすべての項目が2点以上の症例(実薬130、偽薬133例)において平均75か月の観察期間でマシチニブ投与群において、25ヶ月の有意な生存期間の延長(P= 0.037)と47%の死亡リスクの低減(p = 0.025)。しかし、すべての症例を含めた解析では有意差なし。(p= 0.196)(Mora et al., 2021)

副作用: 重篤な副作用31%(肝障害など)(偽薬18%)

治験の現状:リルゾールと組み合わせたマシチニブとリルゾールと組み合わせたプラセボの有効性と安全性を比較するための前向き、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験(第3相試験)

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03127267 

参加者募集中 本邦情報なし

終了予定: 2022年12月

備考:これまで認可された薬剤の薬理作用と異なり炎症をターゲットにした薬剤である。

カナダ保健省は、マシチニブの承認申請の審査を開始した。200日以内に審査が終了する予定。(2022年5月26日)

本薬剤は、犬や猫の悪性腫瘍の肥満細胞腫に対する治療薬として流通している。マシベット®としてヨーロッパでは2008年から発売(日本未発売)

  • Relyvrio (AMX0035) フェニル酪酸ナトリウム3gとタウロウルソデオキシコール酸(taurursodiol1gの合剤 

作用:異常たんぱく質の蓄積による障害を改善する

過去の治験結果:24週間の投与でALSFRS-R(進行速度)低下率は、2.52点の群間差を認め、生存期間中央値は6.5カ月延長

副作用:消化器症状

詳細

作用:フェニル酪酸ナトリウムとタウロウルソデオキシコール酸は、小胞体ストレス*の軽減にはたらく。タウロウルソデオキシコール酸はミトコンドリア障害も改善

過去の治験結果:第2相試験では発症18カ月未満のALS患者(137例)を対象に、24週間観察期間でALSFRS-R低下率は実薬群-1.24点/月、偽薬群-1.66点/月と有意に抑制。死亡リスクが44%減少(HR 0.56; 95% CI, 0.34-0.92)。

生存期間中央値は、実薬投与開始群で25.0カ月、偽薬投与開始群で18.5カ月で、6.5カ月延長。(Paganoni et al., 2020)

オープンラベル継続投与試験では、初期実薬群は、重症リスク(死亡+気管切開/人工呼吸器使用)を49%、入院リスクも44%低下。(Paganoni et al., 2022)

副作用:消化管イベントの発生頻度が高く(2%以上)、また、AMX0035の投与中止は、プラセボ群に比べ多い。

投与法:最初3週間は1日1回投与、その後1日2回投与

治験の現状:2022年6月カナダ保健省で承認。米国食品医薬品局 (FDA) は、Relyvrioを承認(2022年9月29日)。

Phase III Trial of AMX0035 for Amyotrophic Lateral Sclerosis Treatment (Phoenix): 上記Phase IIの結果を約600人のALS患者で確認することが目的。

主要評価項目: Amyotrophic Lateral Sclerosis Functional Rating Scale-Revised (ALSFRS-R)

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05021536

エントリー終了

終了予定:2024年

備考:フェニル酪酸ナトリウムとして尿素サイクル異常症(ブフェニール錠500mg 470.6円/錠)の薬剤として上市されている。

慢性肝疾患における肝機能の改善薬としてウルソデオキシコール酸(ウルソ®)は一般診療で処方されている。タウロウルソデオキシコール酸はウルソデオキシコール酸のタウリンと抱合(結合)したもの。タウロウルソデオキシコール酸は、TUDCAとしてサプリメントとして販売されている。

  • EPI-589

作用:抗酸化作用。EPI-589はALS細胞モデルにおいて、エダラボンより高い活性を示した。

治験の現状:EPI-589の筋萎縮性側索硬化症を対象とした探索的試験 第2相

実際の登録者数:19名

治験結果:安全かつ良好な忍容性が確認され

投与法:EPI-589の1日2回500 mg

EPIC-ALS 試験(第 II 相、jRCT2061210031)

登録予定数10名対象

主要評価項目 治療開始6ヵ月後のALSFRS-R

投与法:1日3回500 mgの内服投与  エダラボンとの併用不可

エントリー終了、日本

終了予定:2023年10月

作用:オートファジーを活性化し、蓄積した有害なタンパク質のクリアランスを促進する。

投与:毎週点滴投与 6か月間

治験の現状:第2/3相

主要評価項目 ALSFRS-R

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT05136885

エントリー終了

終了予定:2023年10月

  • Reldesemtiv

作用:筋収縮性を増加させる。

過去の治験結果:第2相臨床試験では、reldesemtivがALS患者の肺機能およびALSFRSの低下を遅らせる傾向があったが有意ではなかった。

治験の現状:COURAGE-ALS試験第3相進行

詳細

作用:骨格筋速筋トロポニン活性化剤。骨格筋繊維の調節性トロポニン複合体からのカルシウム放出速度を遅くし、サルコメアがカルシウムに感作することにより、骨格筋収縮性を増加させる。

過去の治験結果:第2相臨床試験(NCT03160898)では、reldesemtivがALS患者の肺機能およびALSFRSの低下を偽薬と比較して遅らせる傾向があったが有意ではなかった。

治験の現状:COURAGE-ALS試験(Functional Outcomes in a Randomized Trial of Investigational Treatment with CK-2127107 to Understand Decline in Endpoints – in ALS)第3相では、発症2年以内、中等度から急速進行例を選択基準としている。2022年6月、長期非盲検延長試験(OLE)開始。

投与法:経口12

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04944784

参加者募集中 本邦情報なし
終了予定:2024年

  • Verdiperstat

作用:活性酸素を抑制。ミエロペルオキシダーゼ阻害により炎症を軽減させる

治験の現状:第2/3相。本剤は、主要評価項目であるALSFRS-R(ALS Functional Rating Scale-Revised)による病勢進行および生存期間において、有効性は認められなかった。

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04436510

エントリー終了 本邦情報なし

終了予定:2022年11月

  • Pridopidine, ACR16, TV-7820, Huntexil, ASP2314

作用:sigma 1 受容体を介して小胞体ストレス*の軽減にはたらく。

投与:経口

治験の現状:第2/3相

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04615923

エントリー終了 本邦情報なし

終了予定:2022年

作用:活性型のビタミンB12。末梢性神経障害や巨赤芽球性貧血の治療剤として広く投与。

治験の結果:発症後1年未満ALS症例で、実薬はALSFRS-R合計点数の低下を約43%抑.(Oki et al., 2022)

投与法:筋肉内注射 50mg週2回 (末梢性神経障害承認量の50倍∼100倍量)

備考:薬事・食品衛生審議会医で本剤を希少疾病用医薬品#に指定(2022年4月28日)

詳細

作用:活性型のビタミンB12。末梢性神経障害や巨赤芽球性貧血の治療剤として広く投与。神経毒性のあるホモシステインの低下。活性酸素の低下。グルタミン酸神経毒性の抑制。

治験の結果:高用量E0302の筋萎縮性側索硬化症に対する第Ⅲ相試験-医師主導治験 

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03548311

対象:発症後1年未満の130人.ALSFRS-Rの総スコアが観察期間で1点または2点低下(moderate progression)、ALS重症度1度又は2度.被験者の約90%はリルゾールを併用。治療16週時点で、実薬はALSFRS-R合計点数の低下を約43%抑制(1.97の差)する効果を示した.リルゾール単独治療とリルゾールと高用量メチルコバラミンの併用療法の比較でも、併用治療で有意に症状進行が抑制。有害事象に偽薬と差はなかった。(Oki et al., 2022)

投与法:筋肉内注射 50mg週2回 (末梢性神経障害承認量の50倍∼100倍量)

備考:薬事・食品衛生審議会医で本剤を希少疾病用医薬品#に指定(2022年4月28日)

#医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、は十分にその研究開発が進んでいない希少疾病用医薬品・希少疾病用医療機

器の試験研究を促進するための特別の支援措置を講ずる医薬品。

・SAR443820 (DNL788)

作用:Receptor-interacting protein kinase 1 (RIPK1)阻害薬
炎症、神経細胞死(ネクロトーシス)を抑制する。
治験の現状:第II相試験開始 (HIMALAYA trial)
NCT05237284
参加者募集中 本邦あり
2025年4月終了予定

 OBP-601(Censavudine, TPN-101)

作用:逆転写酵素阻害剤。本来はヒト免疫不全ウイルス感染症の治療薬として開発された。本薬剤はトロトランスポゾンの再活性化を抑制することにより、神経炎症を抑制、細胞を保護することが期待される。

治験の現状:Hexanucleotide Repeat Expansion in the C9orf72 を持つALSまたは前頭側頭型認知症の患者40人を対象にした第2a相試験

投与法:1日1回、内服

詳細

作用:逆転写酵素阻害剤。本来はヒト免疫不全ウイルス感染症の治療薬として開発された。ALSおよび前頭側頭型認知症では、逆転写酵素の発現を伴うレトロトランスポゾンの複製が行われ、ゲノム内にランダムに転移、変異を起していると考えられている。結果、抗ウイルス免疫反応を起こし、細胞死を誘導と考えられている。(Liu et al., 2019) 本薬剤は逆転写酵素阻害剤を抑制、転移を抑え、神経炎症抑制、神経細胞を保護することが期待される。

治験の現状:C9ORF72のALSまたは前頭側頭型認知症の患者40人を対象にした第2a相試験。6カ月間の二重盲検後、6カ月間の非盲検治療。主要評価項目は安全性と忍容性、副次的評価項目は、薬物動態、CSFおよび血中ニューロフィラメント軽鎖、ALS Functional Rating Scale-revised。

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04993755

参加者募集中 

終了予定: 2023年9月

備考:これまでの薬剤とは異なりレトロトランスポゾンをターゲットとしている点は新規性がある。

AVP-923NuedextaZenvia

作用:他の疾患に対して承認済みのデキストロメトルファンとキニジンの2剤合剤。

デキストロメトルファン:咳止めシロップ、NMDA受容体の弱いアンタゴニストとシグマ1受容体(小胞体の膜に存在する分子シャペロン)のアゴニスト

キニジン:不整脈の薬。キニジンはデキストロメトルファンの活性を向上させる。

治験の現状: 感情失禁(軽度の情動的刺激で笑ったり、泣いたりする現象)の頻度が、プラセボに比べ50%程度低下。(Pioro et al., 2010)

副作用:下痢、めまい、咳、嘔吐、脱力感、足のむくみ。備考:2010年10月、Nuedextaは、ALSおよび多発性硬化症における感情失禁の改善薬として米国FDAより承認された。

Sotuletinib BLZ945,

作用:CSF-1R 阻害剤。ミクログリアの活性を抑制し過度の炎症を抑える

治験の現状: ALS患者49人を対象とした第二相オープンラベル試験。主要評価項目は、Translocator protein (TSPO)に結合しミクログリアの活性化指標となる[11C]PBR28 PETの集積。

投与法: 経口投与

ClinicalTrials.gov Identifier: NCT04066244

参加者募集中 本邦なし

終了予定 2024年

Macrophage-Targeted Sodium Chlorite (NP001)
作用: NP001 は亜塩素酸ナトリウムであり、自然免疫機能の調節因子(マクロファージ活性化調節因子)である.
投与: 点滴静注
ClinicalTrials.gov Identifier: NCT0128163, NCT01281631
第2相試験終了
選択基準: 試験開始前3年以内に発症したALS患者. 強制換気量(FVC)が70%以上
治験の現状:C反応性蛋白(CRP)>1.13mg/L群(炎症が強い群)では、実薬群では6ヶ月間でALSFRS-Rスコアが1.5点低下したのに対し、プラセボ群では4.4点低下した(p = 0.03)。CRP < 1.13 mg/L の群では、臨床転帰に差はなかった(Zhang et al., 2022)。血漿中バイオマーカー(LPS-binding protein, hepatocyte growth factor, lipopolysaccharide, IL-18, soluble CD163)は実薬郡で有意に低下.

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。